見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
明らかに笑顔で接してはいないけれど、無愛想でもなく、受け答えもきちんとしている。
相手の顔を見て話を返しているし、誠実そうな雰囲気で周りの人達を笑顔にしている。


(憧れだな、あーいうの。私にはちょっと、真似出来ない……)


バカ正直なところがあるから…と自分のことを思いながら肩を竦める。

気持ちまで竦んできて、この場にも後どのくらい居れば帰ってもいいのかな…と先のことを悩み始め、箸を握ったまま、呆然と取り皿の中を見つめていた。



「ほら」


横から声が聞こえ、ハッとして振り向いた。
目の前には、私の方に手を伸ばす副社長がいて、「え…」と声を返して見つめてしまう。


「蟹。食えよ」


ドン、と手元に剥かれた蟹の身が乗った皿が置かれる。
足の形のまま外された棒肉で、食べ易そうに殻を少し付けてある。


「殻、剥けないんだろ。こういうの俺得意だし、剥いてやるから遠慮せずに食え」


ほらほら…と言いながら蟹の殻を取っては折り、スルッと身だけを外して皿の上に乗せる。


急なことで本当に驚く。
これを私が?…と呆然と見つめ、本当に食べてもいいの?…と目を疑う。


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