見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
そう言った彼は、私が驚いているうちに先輩のご両親と会長夫妻に挨拶をして、また棒立ちする私の元へと戻ってきた。


「ほら、行くぞ」

「えっ?」


どういうこと?…と先輩達を見遣る。
でも、二人はニヤついてこっちを見ているばかりで、それに焦りを覚えながらも先に玄関口へ向かい始めた副社長の後を追った。


玄関先で預けたコートを受け取りながら、先輩にもう一度お礼を言おうとした時__


「何があったのかは知らないけど、何事も神野ちゃんらしくあれば、それでいいと思うよ」


こそっと耳打ちする先輩が、この間の電話のこと…と付け足す。
それを聞いて目を見張り、先輩はやっぱり私のことを心配してくれていたのだと分かり、胸がいっぱいになって涙ぐみそうになった。


「……はい」


涙を堪えて返事をした。
お礼を言って部屋を後にすると、先に表へ出ていた副社長が私の姿を確認して歩き始める。


その歩調に合わせながら、戸惑いを覚えて足が竦みそうになる。
有難いけれど、どうしてだろう…と疑問を感じて、エレベーターへと乗り込んだ。


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