見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「帰ろう」


もう話すこともないと勝手に決めたらしい。

私は顔を上げて何か取り繕おうとしたが、副社長は既に背中を向けていて、私に向かって、「もう話しかけるな」オーラを発していた。


気まずい思いで会計を済ませて店の外へ出た。
前回は甘いムードで手を繋いで歩いたが、今夜は店の前でタクシーを止められ、さっさと乗り込まされて、「おやすみ」と一言挨拶された。


ドアが閉まるのを見届けもしないで彼は歩きだした。
戸惑うように私が振り返っても知らん顔で、あっという間に距離を空けて去っていく。



「お客さん?」


どうしますか?と運転手に問われ、迷ったけれど、「出発して下さい」としか言えなかった。
今、副社長の後を追っても、自分には何も言えない…と諦めるより他なかった。



タクシー内で冷たい彼の声を反芻させて落ち込んだ。

ここまで頑固に意地を張らなくても、友人達の為に奮闘していただけです…と簡単に教えておけば良かったんじゃないの…と後悔した。


まだ副社長とは深く知り合ってない仲。
なのに、これが意外にも根を張り、関係が壊れてしまうのではないかと思うと気は沈んでくる。


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