見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「待て。今日は菖が居ないだろうな」


席へ向かおうとする私の肩を掴み、彼がキョロキョロと周りを見回す。
それを見てつい吹き出してしまい、「そんなことある訳ない」と呟いて、席に座ってからその理由を話した。



「菖さんは今、海外で起業して大忙しなのよ」


自分もこの最近知ったの…と実家の母から聞いた話を始め、それを聞いた千之さんは驚き、「とうとう登り詰めたのか」と呆れたような、感嘆した様な声を漏らした。


「菖さんの子供の頃からの夢って、ずっと『社長さん』なのよ。だから、とっても向上心に溢れてて、努力家で、いつも野望に燃えていたわ」


それで、石の上にも三年…の話が就職の頃に出たの…と話すと、千之さんは妙に納得し、「アイツらしいな」と笑った。


「私にはとても彼女の真似は出来ないけど、今思うと、あれは私に言った言葉じゃなくて、自分に発破をかけていたのかもね」


海外へ行ったら起業するまで帰らない、とご両親には言っていたそうだ。
だから、お正月に会った時はその報告をする為の一時帰国で、直ぐにトンボ帰りして、今はバリバリ働いているらしい。


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