見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
オフィスのメンタルケアを任されている私としては、そういう人達の声を無視しておく訳にはいかない。
熱心に話を聞いて、労い、励ます言葉を選んでかけて、最後にはお礼も言っていた。


自分に話すことで少しでも心の荷が軽くなり、安心感を得て貰えればいい…と思っていた。


でも、そういう場面をじっと見つめている人がいた。
私も最初はそれに気づかず、気づいても、きっと気のせいだろう…と自分に言い聞かせていたのだけれど__。



(あの時、物陰から私を睨んでいたのは、あの人だったよね)


遠目に見える背の高い相手を確認して間違いない、と思う。

談笑している彼は、渓流釣りのスタイルで参加していて、目深に緑のキャップを被り、鼻先から下しか顔が見えていない感じでいるのだけれど……。


(どうして私、あんなに睨まれていたんだろう。ただ、皆の悩み事を聞いて、慰めたり励ましたりしていただけなのに……)


仕事をサボっているように見えたのだろうか。

でも、それをするのも私の大事な役目の一つだと習って、この五年間、ずっと担い続けてきたのに___。


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