メリークリスマス!
多香子をソファに座らせると渉は多香子から離れた。

「これ。」
「ん?」
「クリスマスプレゼント」
そう言って渉が持ってきたのは小さな木の苗木だった。
「この子と一緒に大きくなる木。」
渉が多香子のお腹に触れる。

「俺さ、本当はかなり緊張してる。心配でたまんないんだ。」
「?」
意外な渉の言葉に多香子が渉を見る。
「多香子と慶輔の命を守れなかった。」
多香子はその時のことを思い出す。
「俺が一番救いたい命を俺は救えなかった。だからこそ、この子をこの手に抱くまでは不安で仕方ない。」
「あれは渉のせいじゃないでしょ?」
「でも、ずっとこの手に残ってる。命が消えていく瞬間が。でも、俺はずっとこの子を守っていられるわけじゃない。今は多香子にこの子を任せるしかできない。だからさ、多香子が迷惑ばかりっていうのは間違ってる。それは俺のセリフだ。」
「・・・」
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