私だけのヒーロー
すると、それに反応したたっくんはゆっくりと上半身を起こし、顔を女の子へと向ける。
1人の女の子はたっくんと目線が合うようにしゃがみ込み、他の2人はたっくんの机を囲むようにして立っていた。
何を話しているんだろう……。
すごく気になってしまい、今すぐにでも近くへ行きたいが、その気持ちをなんとか抑えた。
この光景に驚きはなかった。
たっくんは背が高くてかっこいいし、同学年の男の子と比べて落ち着いているから、モテるのは知っている。
私とたっくんの親同士は仲が良いため、幼小中のたっくんのモテ伝説を、たっくんママからたーくさん聞かされている。
容姿端麗で、無気力でやる気がないのにスポーツも勉強もできて、まさに文武両道とはたっくんのためにあるような言葉。
こんな完璧な人がモテないはずがない。
だから、派手な女の子たちがたっくんの知り合いだとしても、おかしくないのだ。