君 色。 <短>
「てか、俺たちどんくらいぶりだっけ?」
「えっと――」
頭の中で指折ってみる。
「高2以来だから……七年、くらいかな」
「そっか、もうそんなに経つんだ」
どこかから聞こえた、夕焼けを知らせるチャイムと一緒に
ケイちゃんの眉は少しだけ下がって、どこか遠くを見るような目をした。
「いつから帰ってきてたの?」
「二年前。就職するのに戻ってきた」
「そんな前から居たんだ。同じ街にいてもなかなか逢わないもんだね」
「だな」
連絡してくれればよかったのに……
文句のひとつでも言ってやろうと思ったけど、ケイちゃんの答えを聞くのが恐くて
私は、寸前まで出かかった言葉を思わず飲み込んだ。
今はもう、私が1番じゃないという現実を
ケイちゃんの口から聞きたくはなかったから。
連絡先も、次の約束も…
昔なら自然にできたはずのことが、今は何ひとつできない。
多分、ケイちゃんも同じだ。
私達は意気地なしだから……
気を使い合うようになってしまったんだね。
変わっちゃったのはどっちだろう?
ただ大人になったからかな?
だとしたら時の流れってやつは、何よりも恐い生き物だ。