君 色。 <短>
――ドン
「え?」
――――ドン
「……南?」
――――――ドン
「――ちょ!南?」
何も言わずに、ただケイちゃんの胸を叩く私。
急に変わった雰囲気に、困惑するケイちゃん。
何をしているのか自分で自分がわからない。
抑えきれない思いが
あの頃にしまったはずの私が
……私を、支配していく――
「バカ。バカ――」
ケイちゃん……
ケイちゃん――
目に覚える、久しぶりの違和感が零れ落ちないように上を向くよりも、
私は、誰にも見られてしまわぬようにと下を向いてた。
何色をしているのかも思い出せないくらいに、
しばらく遠くに迷い込んでいた、涙――
もう止まらない。
止めらんないよ。
言わずにはいられない。
やっぱりケイちゃんの前で、我慢なんかできない。