君は同期で幼馴染で××で
いくら幼馴染といっても、さすがに幼い頃のような付き合いはなくなっていく。
外で会えば言葉を交わすし、忘れ物をしたと言えば、時間割が重ならない限りは貸し借りもしていた。何が普通かはわからないけれど、それぐらいの付き合いになっていくものだと思う。
でも、中学生になっても、陸は何かと私にまとわりついていた。

部活で私が大会に出ると言えば、陸は一人でだって聴きに来てくれた。バスケの試合があるとなれば、陸はいつも私を呼んだ。一人で行くのもなんだか照れくさくて、友達を誘って応援に駆けつけるようにしていた。

中学2年生になると、陸の身長は一気に伸びた。すっかり成長の止まってしまった私は、陸と会えば見上げるばかりになっていた。
背も高く、整った顔立ちの陸は、その頃から女の子にすごくモテるようになった。

バスケの試合となれば、女の子達が詰めかけて、陸をはじめかっこいい男の子をお目当てに、キャーキャーと黄色い声が飛び交っていた。
陸は何人かの子に告白もされていたみたいだけど、私の知る限り、その全てを断っていたようだ。

一度だけ陸に、

「嬉しくないの?付き合わないの?」

と、聞いたことがある。
その時陸は、見たこともないような冷たい目をして、

「全く嬉しくない。好きでもないのに、付き合う気はない」

と言った。なんだかすごく悪いことを聞いてしまったような気がして、それ以降、一切そういう話はしなかった。

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