美しく死なせてください
「生きていたら、いずれ死刑にしてもらえるの?」

マチルダが一瞬期待した目をする。グレイソンは首を横に振った。戦争の後、法律が変わってこの国では死刑制度がなくなった。仮にあったとしても、マチルダが死刑になることはないだろう。

「じゃあ毒を飲ませてよ。ヒ素でも、テトロドトキシンでも、農薬でもいいから……!!もう生きていたくなんてない!!私に居場所なんてどこにもない!!」

マチルダは泣き喚き、毒を何度も求める。グレイソンはそれを力で押さえつけるしかなかった。

マチルダは戦場で、毒を使って兵士たちを殺したらしい。だから毒を求めるのだ。自分が命を奪った方法で死のうとする。

だから、マチルダを自由にすることはできない。


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