極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
綺麗な和菓子を眺めてどれにしようか迷ってると作務衣姿の斗真さんが帽子を脱ぎながら店に出てきた。
それだけで静かだった店内がざわざわとざわめき出す。
「やあ、叶ちゃん着物姿なんて珍しいね?すごく似合ってるよ」
「い、いえ、そんな。今日は大和さんのところで着付け教室があったんです。このお着物は流星さんのお母様のものでお借りしてるんです」
「へえ、流星にはその姿見せたのかい?」
「いえ、いま終わったばかりですし、流星さんはお仕事中ですから」
「おや、それはもったいない。こんなに素敵なのに」
お母様の着物とはいえ私の着物姿なんてわざわざ流星さんは見たいとも思わないだろう。とんでもない!とぶんぶんと首を振った。
先に見てしまって後でどやされそうだな、と一人呟く斗真さんに私は首を傾げた。
「あ、今日も流星の為に練り切りを買うんだろ?流星は甘いものに目がない(・・・・)からな。今日のお勧めはこれだよ」
「あ、これ綺麗だなと思ったんです」
甘い物、特に和菓子が好きな流星さんの為に時々こうして買いに来ると斗真さんがいくつか見繕ってくれる。
今日のお勧めは春らしく桜の花びらが幾重にも重なったような花弁衣(はなびらごろも)と淡いピンクと緑と水色の3色の寒天が散りばめられた春の風。
とても綺麗で気になってた2品が選ばれて心も踊る。
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