ハッピーエンド
「この店は本当においしいんだ。エリーを連れて来たかったんだよ」

「そうですか。私はこのような場所は初めてです。……夜景が綺麗ですね」

嬉しそうに話すアルベールにエリーも合わせる。すると、ソムリエがワインを運んできた。立派な赤ワインだ。

「乾杯!」

アルベールとグラスを軽く合わせ、エリーはゆっくりとワインに口をつける。お酒を飲むのは久しぶりだ。オビが家にいた頃は、よく二人でおつまみを二人で作って飲んでいた。

「前菜のトマトのプロヴァンス風です」

美しく盛り付けられ、まるで芸術作品のような一品がテーブルに運ばれてくる。エリーは「綺麗です」と微笑み、アルベールは「それはよかった」とまたワインに口をつけた。

食事を始めてしばらくすると、「エリー」とアルベールが真面目な顔で見つめてきた。エリーは食事の手を止める。

「僕と付き合う件、考えてくれた?」

やはりその話か、とエリーの胸が緊張する。エリーは慎重に言葉を選んだ。
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