君がいれば、楽園
 冬麻といるのは心地よく、彼に触れられるのは嫌ではなかった。
 けれど、いつか彼がわたしにうんざりするのではないかと思うと、怖かった。

 コミュニケーションは、言葉だけでは成り立たない。
 言葉ではないものが大部分を占める。

 その大部分を理解できていないわたしが、誰かと親密な関係を築けるのか。
 自信が持てなかった。

 でも、そんなわたしに冬麻は言ってくれた。

「わからなかったら、訊いて。俺も訊くから」

「でも……何度も訊いたら、嫌になるかもしれない」

 質問を繰り返し、疎まれた記憶はわたしの中に巣食い、わたしをがんじがらめにしていた。

「俺のことを知りたいと思ってくれている証拠なのに、嫌になんかならない。それに、長く付き合っていけば、気づきたくなくても気づくようになる。アイビーが元気に育ったのは、毎日夏加が気にかけていたから。元気がなかったり、水が足りなかったり。そういう変化に気づいて、きちんと世話をしたからだ」
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