【短】チョコプリンセス〜甘い甘い誘惑に勝てはしない〜
「駄目、なんかじゃない。駄目じゃないよ……嬉しい…」
「あの、ちょっ、楽斗?!」
遅い冬将軍の到来中。
外は吹きすさぶ風でとても寒いのに、楽斗の腕の中はとても暖かくて、心地良かったけれど、私はそれ以上に恥ずかしくて混乱する。
「明日、愛咲ちゃんがチョコレートくれなかったら、もう諦めようと思ってた。だから…凄く嬉しい…」
「楽斗…」
「俺、本命以外受け取ったことないよ?」
「………へ?」
「だから、去年も貰わなかったのに…愛咲ちゃんがくれないから、かなりヘコんでた」
それは、えっと……?
そう考えていると、抱き締める腕を緩められて、楽斗の手が私の前に差し出される。
「今年はチョコレート、くれるんだよね?」
「あ………うん。でも!あんまり期待はしないで?初めて手作りしたし、美味しくないかもしれないし……」
「愛咲ちゃんが作ってくれたなら、その辺のパティシエのより美味しいよ、絶対」
「う。買いかぶり過ぎだよ、楽斗は。でも…はい…コレ」
チョコレートを入れた箱のラッピングは、楽斗の好きな濃いコバルトブルー。
そこに、苦戦しながら赤いリボンをつけて、私なりに見た目は頑張った。
その箱が楽斗の手に渡ると、楽斗の顔がふにゃりととろけて、笑顔になる。
「ありがと。あー…念願の愛咲ちゃんからのチョコレートだ…。……それで…さ…」
「ん?」
「これは、俺からのお返し。ちょっと早いけど…」
そう言って、手元に小さな箱が渡される。
「なにこれ?」
「俺も、フライングしようとしてて。もし、愛咲ちゃんがチョコレートをくれた時に渡そうと思って…開けてみて?」
かさ
そんな音を立てて小さな箱を開けてみると、そこには細いチェーンの、ブレスレット。