私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
しれっと須藤課長をイラつかせる言葉を告げた山田さんに、反論したほうがよさそうだけど、正直なところ、そのとおりになる予感がした。
「ついに童貞上司が、大人の男になるんだな。次のあだ名はなんにする?」
山田さんのセリフでイラついていたところに、松本さんがわざとらしく火を注いだのは、間違いなく明日の仕事に対する恨みからきているのかもしれない。
「松本、おまえは俺のことをそんなふうに呼んでいたのか!?」
「だって事実だろ。みんなからあだ名を募集するから、その中から選べる権利をやろうか?」
「松本ちゃんも須藤課長も、ええ加減にしなはれ。松本ちゃんの毒舌は、部署の監視カメラに黒い紙を貼りつけて、大事なシーンを見えないようにされたのが出てるだけやで」
睨み合うふたりの間に、ひょっこり猿渡さんが入る。飄々としている猿渡さんだからこそ、喧嘩の仲裁に向いてると思った。
「本当は電源を切りたかったけど、それをすると松本にバレるだろ。黒い紙を貼りつけることで、仕方なく手を打ったんです」
これ以上の言い争いにならないように、言葉尻を柔らかくした須藤課長の対応に、松本さんがうっと押し黙った。
「須藤課長はこんなところで、僕らに噛みついてる暇はないでしょ。ヒツジちゃんをこれ以上待たせたら、誰かと浮気しちゃうかもですよ」
やれやれと肩を竦めた高藤さんのセリフで、須藤課長はギョッとした表情をありありと浮かべた。
「愛衣さん、浮気――」
疑わしげにしげしげと私を見下ろす須藤課長に、ハッキリ断言してあげる。
「しませんよ、絶対に。ってわっ!?」
突然腕を引かれたと思ったら、誰かに強く抱きしめられた。驚きながら仰ぎみると、抱擁の主は山田さんだった。
「山田、おまえまた……」
須藤課長が怒って手を出す前に、山田さんの体を全力で押して、さっさと抜け出すことに成功した。強く抱きしめられたのが一瞬だったので、自力で抜け出すことができた。
「須藤課長は遅いんです。そうやって余裕こいてると、こうやって誰かに取られますよ」
「余裕こいてるつもりはない! いつも必死だ」
そう言って私の手を強引に掴み、足音をたててミーティングルームから脱出した。
「充明くん……」
「このまま帰ります。もう誰にも邪魔させません。誰かが愛衣さんに触れないようにしないと」
大きなスライドで進む足に併走しなきゃと、必死になって小走りするしかなかった。
「充明くん、私制服を着てるから、着替えなきゃいけないんだけど……」
須藤課長の帰りたい気持ちが、足早に動くスピードになって表れていたので、すごく言いにくかったけど、きちんと着替えなければならないゆえに、思いきって告げた。
「すみません。着替えることに気づけなくて」
「すぐに着替えてますので、表で待っていてください!」
バツが悪そうに顔を歪めた須藤課長に、まくしたてる感じで言い放ち、女子更衣室までダッシュした。私も早く充明くんとふたりきりになりたかったから。
「ついに童貞上司が、大人の男になるんだな。次のあだ名はなんにする?」
山田さんのセリフでイラついていたところに、松本さんがわざとらしく火を注いだのは、間違いなく明日の仕事に対する恨みからきているのかもしれない。
「松本、おまえは俺のことをそんなふうに呼んでいたのか!?」
「だって事実だろ。みんなからあだ名を募集するから、その中から選べる権利をやろうか?」
「松本ちゃんも須藤課長も、ええ加減にしなはれ。松本ちゃんの毒舌は、部署の監視カメラに黒い紙を貼りつけて、大事なシーンを見えないようにされたのが出てるだけやで」
睨み合うふたりの間に、ひょっこり猿渡さんが入る。飄々としている猿渡さんだからこそ、喧嘩の仲裁に向いてると思った。
「本当は電源を切りたかったけど、それをすると松本にバレるだろ。黒い紙を貼りつけることで、仕方なく手を打ったんです」
これ以上の言い争いにならないように、言葉尻を柔らかくした須藤課長の対応に、松本さんがうっと押し黙った。
「須藤課長はこんなところで、僕らに噛みついてる暇はないでしょ。ヒツジちゃんをこれ以上待たせたら、誰かと浮気しちゃうかもですよ」
やれやれと肩を竦めた高藤さんのセリフで、須藤課長はギョッとした表情をありありと浮かべた。
「愛衣さん、浮気――」
疑わしげにしげしげと私を見下ろす須藤課長に、ハッキリ断言してあげる。
「しませんよ、絶対に。ってわっ!?」
突然腕を引かれたと思ったら、誰かに強く抱きしめられた。驚きながら仰ぎみると、抱擁の主は山田さんだった。
「山田、おまえまた……」
須藤課長が怒って手を出す前に、山田さんの体を全力で押して、さっさと抜け出すことに成功した。強く抱きしめられたのが一瞬だったので、自力で抜け出すことができた。
「須藤課長は遅いんです。そうやって余裕こいてると、こうやって誰かに取られますよ」
「余裕こいてるつもりはない! いつも必死だ」
そう言って私の手を強引に掴み、足音をたててミーティングルームから脱出した。
「充明くん……」
「このまま帰ります。もう誰にも邪魔させません。誰かが愛衣さんに触れないようにしないと」
大きなスライドで進む足に併走しなきゃと、必死になって小走りするしかなかった。
「充明くん、私制服を着てるから、着替えなきゃいけないんだけど……」
須藤課長の帰りたい気持ちが、足早に動くスピードになって表れていたので、すごく言いにくかったけど、きちんと着替えなければならないゆえに、思いきって告げた。
「すみません。着替えることに気づけなくて」
「すぐに着替えてますので、表で待っていてください!」
バツが悪そうに顔を歪めた須藤課長に、まくしたてる感じで言い放ち、女子更衣室までダッシュした。私も早く充明くんとふたりきりになりたかったから。