私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
 ギギッとベッドが軋んだ音が耳に聞こえたけれど、今はそれどころじゃない。

「んぅ…ンンンっ」

 執拗に絡められる舌と一緒に、体をまさぐられながらシャツのボタンが外されるのがわかった。

「愛衣さんに触れるたびに、好きが増えてる」

「充明く……」

「今でも信じられない。愛衣さんとこういうことをするのが」

 器用にブラを外した手が、胸をやんわりと揉みしだいた。

「柔らかくてすべすべで、ずっと触っていたい」

 掠れた声で告げた須藤課長の片手が、スカートの裾に触れたのがわかった。触れたと思ったのも束の間、すごすご手が引っ込められる。

「ごめん。やっぱり脱がせられない。パンスト、俺の指先に触れただけで、破きそうで」

 須藤課長はあからさまに落ち込んだ表情で、私の上から退いた。

「だったら私が膝まで自分で脱ぎますので、残りを充明くんが脱がしてください」

(全部自分で脱いでもよかったけど、いつかは須藤課長が脱がせる日がくるハズ。そのときのために、なにごとも経験しておいたほうがいいよね)

 上半身だけ起き上がり、スカートをたくし上げてパンストのウエスト部分に手をかけた。まじまじと見つめられながら脱ぐのは、ものすごく恥ずかしかったけれど、致し方ない。

「そういえば充明くん、ブラを片手だけで外しましたよね?」

「えっ、あ、うん……」

 らしくない歯切れの悪い返事に、パンストを脱がす手が止まった。

「はじめてなのに、よくできましたね?」

「確かに、うまくできてしまったというか」

 パンストを脱ぐ私を見ていた目が、決まり悪そうに泳いだ。

「充明くん、もしかして挿入する手前までしたことが――」

「ないない、そんなのあるわけない! 違うんだ、練習したから高藤と!」

 ひょんなところで名前が出てくる高藤さん。いったい彼は須藤課長に、ナニを教えたというのだろうか。

「高藤さんとブラを外す練習をしたんですか?」

 ふたりがブラを手にして、あーだこーだ言い合っている様子が脳裏に描かれる。傍から見たらコントみたい。

「こんなことなら一緒に、パンストを脱がす講座も開いてほしかった」

「講座って、そんなものやっていたんですか?」

 私の呆れた声に、須藤課長はこの世の終わりみたいにしょげた顔のまま、がっくりと首をもたげる。

「残業の息抜きタイムとか言って、アイツが鞄からいきなりブラジャーを引っ張り出したところからはじまったんだ。高藤なんて残業1時間しかないのにさ」

「須藤課長が困らないように、高藤さんは進んで教えてくれたんですね」

 上司思いの部下の講座の成果で、さっきは片手で難なくブラを外すことができた。
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