極上パイロットが愛妻にご所望です
「王子のフライトしか乗務していないの。といってもまだ数回だけど」

「どうして彼女は王子のフライトだけなのかしら?」

 わけがわからないと、友莉子は首を傾げ、ワイングラスへ手を伸ばす。

「わからないわ。偶然かもしれないし……」

「久美、友莉子、あんな写真たいしたことないって」

 私は自分の疑念も払拭するように、力強く言ってみせた。

「朝陽の周りにはきれいな女性ばかりなのに、私のこと大好きって言ってくれるの。だから気にしないわ」

 ふたりの顔が少し明るくなった。

「のろけちゃって! ごちそうさまっ」

「でしょ。朝陽は美的感覚がずれているの。私を選ぶんだから」

 にっこり笑ってみせると、久美は大きく首を横に振る。

「砂羽はきれいよ。王子の美的感覚はずれていないわ」

「そうよ。あと……」

 久美に続いた友莉子がジッと私の胸へ視線を向ける。

「ど、どこ見てるのっ」

「ふふっ、きっと王子は胸フェチじゃないかなと思って」

 友莉子の言葉に久美がケタケタ笑いだす。

「確かに! 身長差三十センチ以上で、華奢だけど胸が大きな癒し系のボディが、王子の好みなのよ」

「も、もうっ! この話はやめようよ」

 私は手で胸を隠すフリをしながら、少しだけ気が紛れて笑みをこぼした。

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