極上パイロットが愛妻にご所望です
 勤務が終わると、普段より疲れを感じていた。月のもののせいもある。

 お腹も痛いし……少しフラフラする。

「比呂、お疲れ。早く帰ろう」

「そうだね。遅番だとゆっくり眠れるからいいわ」

 着替え終わった私たちは更衣室を出る。比呂は私が住む町よりも、ひと駅空港寄り。

 朝陽から連絡が入っているか気になって、改札に向かいながらスマホを取り出す。

 えっ……駐車場で待ってる……?

「ひ、比呂、ロッカーに忘れ物をしちゃった。ごめんね。先に帰って」

 忘れ物などしておらず、比呂に嘘をついているからぎこちない。

「忘れ物? うん。わかった。お先に。お疲れー」

「お疲れさま」

 比呂と別れて、いそいそと駐車場へ向かう。

 小走りで駐車場に歩を進めながら、【今向かっています】とメッセージを送る。

 辺りを確認しながら、パールホワイトのSUV車を探す。高さのある車なので、すぐに見つけられた。

 朝陽は驚くことに制服を着て運転席にいた。

 カ、カッコいい……。

 制帽はかぶっていないし、上着も脱いでいるけど、ワイシャツの肩章の四本ラインが眩しい。

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