極上パイロットが愛妻にご所望です
このことを話すには勇気がいっただろうと思う。でも、親友だから私の身になってくれているのだ。
「彼女と結婚すればAANはさらに国内最大手の地位を揺るがなくさせるでしょうね」
久美の話に私は愕然として言葉を失った。
心臓がドキドキ暴れ始め、顔が歪む。急に喉の渇きを覚え、ミルクティーの入ったカップを持つ。その手が小刻みに震えていて、カップを口に運ぶことができずにソーサーの上に置いた。
「砂羽、大丈夫? ごめん、こんな話聞かせて。砂羽は大事な親友だから話さないと、と思ったの」
「……うん。嫌な役目だったね。ごめんね」
知らなかったほうがよかった? ううん。知らなかったら、私は道化師そのもの。付き合っている彼は別の女性と結婚し、もしかしたら、結婚式の日取りを知るまで気づかなかったのかもしれないのだから。
朝陽はそんな男ではないと信じているけど……。
「……これはハンナが話しているのを聞いたの。けっこう周りに吹聴していて。だから、本当のところはわからないのよ? 王子が言ったのではないから」
私は笑顔を久美に向けようとしたが、引きつった顔しかならなくて、唇をキュッと噛む。
「砂羽、ちゃんと王子と話してね」
「……うん。考えさせられちゃうね。朝陽のような人に、私はふさわしくなかったと思う」
「彼女と結婚すればAANはさらに国内最大手の地位を揺るがなくさせるでしょうね」
久美の話に私は愕然として言葉を失った。
心臓がドキドキ暴れ始め、顔が歪む。急に喉の渇きを覚え、ミルクティーの入ったカップを持つ。その手が小刻みに震えていて、カップを口に運ぶことができずにソーサーの上に置いた。
「砂羽、大丈夫? ごめん、こんな話聞かせて。砂羽は大事な親友だから話さないと、と思ったの」
「……うん。嫌な役目だったね。ごめんね」
知らなかったほうがよかった? ううん。知らなかったら、私は道化師そのもの。付き合っている彼は別の女性と結婚し、もしかしたら、結婚式の日取りを知るまで気づかなかったのかもしれないのだから。
朝陽はそんな男ではないと信じているけど……。
「……これはハンナが話しているのを聞いたの。けっこう周りに吹聴していて。だから、本当のところはわからないのよ? 王子が言ったのではないから」
私は笑顔を久美に向けようとしたが、引きつった顔しかならなくて、唇をキュッと噛む。
「砂羽、ちゃんと王子と話してね」
「……うん。考えさせられちゃうね。朝陽のような人に、私はふさわしくなかったと思う」