極上パイロットが愛妻にご所望です
「そんなっ、自分を卑下しないで。砂羽は素敵な女性よ。もし、王子が砂羽を弄んでいたとしたら、私は許さないわ」

 久美は強く言葉にして、耐えるように拳を強く握りしめる。

 私よりも久美のほうが怒っているみたい。そう思ったら、少しおかしくなって、フッと笑みを漏らした。

「久美、ありがとう」

 ようやく言えたけど、そう口にしたら涙が滲んできて、急いでミルクティーを口にする。

「ねえ、例えばだけど……居づらくなったら、LCCのCAへ転職もありだと思うの。LCCは身長にこだわらないところもあるって最近聞いたわ」

「久美……」

 彼女の言う通り、別れることになったら、朝陽を見かけるだけでつらいかもしれない。つらい? ううん。身を切られるように胸に痛みを覚えるだろう。

 現在、朝陽はロサンゼルスだ。もちろんハンナさんも一緒に。久美の話が本当であれば、公私混同も甚だしいけど。

「LCCのCA、なれたら嬉しいかも」

 CAになって世界中の空を飛ぶのが、小学生の頃からの夢だった。

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