極上パイロットが愛妻にご所望です
「朝陽の風邪くらい、もらっても、どうってことないわ」

 今まで突っ立っていた私は隣に座ると、彼が不思議そうにしている間に、抱きついて唇を重ねた。

「っ、砂羽!」

 私はあっけなく引き離された。

 今まで見たことがないくらい困惑している朝陽に私はにっこり笑みを浮かべる。

「せめて食事を作らせて。おうどん食べたくて、材料買ってきたの。おかゆのほうがいい?」

「砂羽、うがいしろよ。塩で? いや、緑茶もいいって聞いている。それよりも医者からうがい薬もらっていたんだ。キッチンにあるから」

 たった今のキスのことが気にかかるらしい。うがいも今さらって感じだけど。

 私は動揺している朝陽を尻目に、口元を緩ませて立ち上がる。

「うがいするから。おうどん? おかゆ? どっちが食べられそう?」

「……うどん」

「はいっ。朝陽はちゃんと寝ていてね」

 ベッドに横になる彼を見届けてから寝室を出ると、キッチンへ行った。
 

 出汁の味を重視して薄味を心がけた、具をたっぷり入れた味噌煮込みうどんを作り終えた頃、朝陽が姿を見せた。

 時刻は十六時半を回っている。

「寝ていなかったの?」

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