極上パイロットが愛妻にご所望です
『はあ? 砂羽、いったいなにを言ってるんだ? なぜ無理なんだよ』

 彼は苛立ちが交じった声になる。

「朝陽は王子さまなの。そもそも私が付き合える相手じゃなかったの。それを今さらながら気づいただけ」

『俺が王子さま? ふざけるな。ちゃんとした理由が聞きたい』

 とぼけてるの? ちゃんとした理由……それを話したら、私は惨めになる。

『砂羽っ! 言うんだ』

 朝陽は声を荒げた。納得しない限り、電話は終わらない。泣き声にならないよう、大きく深呼吸をして口を開く。

「ハンナさんと結婚するんでしょう? 社内で知らない人はいないわ」

 突きつけると、朝陽は一瞬息を呑んだ気がした。

『ハンナと? 結婚なんてしない』

 断言する言葉に安堵の気持ちが芽生えたが、信じられなかった。

「嘘っ!」

『嘘じゃない。その件は明日戻ったら話す。今は興奮しすぎているから、俺がなにを言っても信じないだろう?』

「嫌! 聞きたくないの!」

 甲高い声で強く言葉にして、反射的に通話を終わらせ、スマホの電源を落とした。

『結婚なんてしない』

 朝陽から聞きたかった言葉だ。信じたかった。でも、それを信じて元通りに交際を続けたとしても、私と朝陽の格差がありすぎて、将来を望むことなんておこがましい。それならば、今……彼を深く愛する前に離れなければ。

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