極上パイロットが愛妻にご所望です
 深く愛する前か……。もう充分すぎるなんてもんじゃないくらい愛している。明日から、朝陽の姿を見るのは身を切られるくらいにつらくなる。

 LCCのCAの件、久美に聞いてもらおうか……。
 成田空港発着のLCCなら、羽田にいる朝陽の姿を見ずに済む。
 

 翌日、出社して一時間も経たずに、まったく予期しなかった事態が起きてしまった。
 
 私の心臓が暴れ始める。手足が震え、腰が抜けそうなくらいの衝撃だ。
 
 ロンドンからの朝陽の操縦する機体がなんらかのトラブルで着陸ができないと耳にしたのだ。
 
 なんのトラブルなの!?
 
 空港職員やAANの者は慌ただしく動き始めるのが、チェックインカウンターにいる私にもわかる。
 
 手続きのお客さまが途切れ、隣にいる比呂に顔を向ける。

「比呂、ロンドンからのうちの便が緊急事態みたい……」

 いても立ってもいられない。私の頭の中は朝陽の心配で占められ、パニックに陥る手前だ。

 空港職員の緊迫した様子は、幸い乗客たちは気づいていない様子。

 そこへ私たちのインカムに情報が入り、一瞬で、比呂の顔色が変わり、私の背筋が凍りつく。

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