極上パイロットが愛妻にご所望です
 代わりに素っ頓狂な声を出したのは比呂だ。

「ええっ!? それは、さ、桜宮機長と砂羽のことですかっ!?」

「そうよ。王子のアナウンスに乗客たちは拍手したそうよ。緊迫した中、乗客の緊張を和らげるのは難しくて、ベテラン機長だってできることではないわ。あと、王子がアメリカにいるとき、やはり車輪が出ないことがあったそうなの。そのときも無事に着陸したから今回も、と。本当にカッコいいわ」

 朝陽……。

 彼に会いたくて、まだひと口しか食べていない食事をそのままにして席を立つ。

「今、どこにいるかわかる?」

 久美は「あっ!」と、思い出したような顔になる。

「そうだった! 王子から伝言があったんだわ! メッセージを見てって」

「久美、ありがとう!」

 トレイに手を伸ばそうとすると、比呂が「私が片付けておく。早く行って」と送り出してくれる。

「ありがとう! 行ってくるね!」

 私はその場を離れ、気が急いたまま更衣室へ向かった。

 朝陽は私を愛してくれている。なによりも大変だった状況で私のことを思い出してくれたのが最高に嬉しい。

< 187 / 276 >

この作品をシェア

pagetop