極上パイロットが愛妻にご所望です
 更衣室へ入り、ロッカーを開けてバッグからスマホを取り出す。胸をドキドキさせながら彼からメッセージを確認する。

【制服を着たまま展望デッキへ来て】

 展望デッキへ……?

 しかも制服を着たままだなんて、どうしてなのかわからない。そう思っても、一刻も早く朝陽の元へ行きたくて、乱暴にロッカーを閉め、スマホを持ったまま小走りで目的の場所を目がけて駆けた。
 

 展望デッキは今朝の混雑が夢だったかのように、いつもの様子を見せていた。これから出発する楽しそうな人々や、見送りの男女、飛行機を見に来た様子の幼稚園生のグループなどが見受けられる。

 私はキョロキョロと辺りを見回し、朝陽を探す。

 そのとき、こちらに背を向け、柵の前にいる制服を着た男性が振り返った。四本ラインの機長の印の制服を着こなし、制帽をかぶったままの朝陽だった。

「朝陽……」

「砂羽!」

 朝陽は笑顔だった。

 私は弾かれたように七メートルほど先に立つ朝陽に向かって駆けだし、彼も私のほうへ走りだす。

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