極上パイロットが愛妻にご所望です
「ありがとう。すごく、すごく、すごーく嬉しい。本当に今日が早く来てほしいくらい楽しみだったの」

 旅行を決めてから約二ヵ月、待ち遠しい時間だった。

「俺もだ。楽しもうな」

 朝陽は手を伸ばし、私の後頭部を引き寄せると、唇を合わせた。そしてハッとなって彼から離れる。

 CAの姿もなく、周りから見えなくてよかった。

「シートベルトして。動き始めた」

「あ、はいっ」

 足元のほうからガタンと音が響き、機体が動きだしたのがわかった。シートベルトサインも出ている。私も腰をかけなおして、シートベルトをカチッと音をさせて装着した。

 離陸してから、ウエルカムシャンパンとキャビアやフィンガーフードが用意される。

 シャンパングラスを小さく重ね乾杯して口へ運ぶと、美味しくて顔が瞬時ほころぶ。

 うわっ。高級シャンパンだわ。空きっ腹と高度で酔いが早そう。

 ファーストクラスは八席あり、私たちを含め半分が埋まっていた。

 バンクーバー国際空港までは八時間四十分のフライト。バンクーバーに一泊してから翌日に国内線でイエローナイフ空港へ向かう予定になっている。

 バンクーバーまでのフライトの間、私たちは高級ホテルのフレンチレストランのように運ばれてくる料理やワインを楽しみ、他愛もない話をして、就寝時には手を繋いで眠った。

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