極上パイロットが愛妻にご所望です
「朝陽……」

 おでこに唇が落とされる。それから手を引かれて、部屋の中へ歩を進めた。

「なかなかいい部屋だな」

 ソファの前のローテーブルには、ウエルカムフルーツとショコラが置いてある。

「いつもこんないい部屋に泊まっているの?」

「そんなわけないだろ」

 朝陽は座り心地のよさそうなソファにドサッと腰を下ろした。

「そうなんだ……。あ! 座らないで。時間がもったいないでしょ。きゃっ!」

 話しているそばから腕を引かれて、彼のほうへ引き寄せられてしまった。朝陽に抱きつく形になり、慌てて退こうとする。だけど、朝陽の腕は離されず、結果ソファに押し倒されてしまった。

 朝陽の唇が私の唇を甘く食む。

「自宅に砂羽を迎えに行ったときから、ずっと我慢していたのに?」

「だ、だって……」

 私だって、退廃的に朝陽に抱かれたいと願ってしまうけど……。

 キュッと唇を引き結んで、頭を左右に振る。

「フライトのとき、CAが朝陽と街に出かけているのがすごくうらやましかったの。だから私の望みを叶えて」

「あれはたんなる付き合いの一環だ」

 瞳が絡み、真剣な眼差しで見つめたのち、私の意思は固いと感じたのか、朝陽は「はあ~」とため息を漏らす。

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