極上パイロットが愛妻にご所望です
 私を組み伏せていた身体が退き、起こされた。

「砂羽の望みを叶える。だが、夜は俺の望みを叶えろよ」

「う、うん。明日に響かない程度に……ね?」

「問題ない。十四時の直行便だから。砂羽を愛する時間に影響はない」

 きっぱり言いきり、唇に軽くキスを落とす朝陽に、呆気に取られる私だった。
 

 タクシーでダウンタウンの北東部へ向かい、『バンクーバー発祥の地』という『ガスタウン』へ。そこには、十五分置きに蒸気で笛が鳴り時間を知らせる『蒸気時計』があり、レンガを敷きつめた道路やレンガ造りのレストランやショップが軒を連ねている場所。

 まだクリスマスには少し早いが、飾られているショップもあり、心がワクワク浮き立ってくる。

 こういうところで、手を繋いで歩きたかったと言うと、朝陽は立ち止まり微笑む。それから私の手の甲に唇を触れさせ、髪に口づけてくれる。

 ここが外国だからなのか、羞恥心は捨て去ることができて、実に甘い朝陽のキスも道端で受け入れられる。

 朝陽と一緒に歩いているだけでも、これ以上ない幸せを感じているのに、さらに街もロマンティックな雰囲気なので、満足以上のものを実感していた。

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