極上パイロットが愛妻にご所望です
「朝陽……、もう起きてたの……おはよう」

 ベッドの端に腰をかけた朝陽がいた。手に皿とクロワッサンを持って。

「啼かせすぎたか。声がハスキーだ」
 
 彼は朝から妖艶な笑みを浮かべて、唇にちゅっと音をたててキスをする。

「もう……朝陽のせいだからね」

 私はかろうじて胸を隠しているかけ布団を上げる。

 彼はオフホワイトの厚手のニットとデニムに着替えていた。自分だけ裸なのが恥ずかしい。

「今、何時……」

 まだ早いよね? ロイヤルブルーの重たいカーテンが開けられた窓から見える空は、昨日と同じでどんよりしている。

「十一時」

「ええっ!?」

 眠気が一気に覚めて、かけ布団を持ちながら飛び起きる。

「もうそんな時間なのっ? 朝の散歩を楽しみたかったのに……」

「散歩くらい、向こうでできるさ。とはいっても、寒さに負けなければだけどな。向こうは雪が降っている」

「寒さくらい我慢できるからっ。シャワー浴びるから先に食べててね」

 着替え済みの朝陽の目の前で裸体を晒す勇気はなくて、向こうへ行くように促すと、そんなことは承知しているとばかりに彼は笑って、皿にのったクロワッサンと共にリビングへ去っていく。

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