極上パイロットが愛妻にご所望です
 はあ~。もう。目覚ましをかけたのに起きられないなんて、バカッ……。

 予定が狂ってしまい、自分に立腹しながら、バスルームへそそくさと向かった私だった。

 
 シャワーを浴びて、寒さ対策で裏起毛のデニムを穿(は)き、温かい肌着の上にラベンダー色のタートルネックセーターを身につけて、リビングへ行く。

 リビングのソファの上にカナダで有名な高級防寒着と、分厚くて暖かそうな膝までのブーツが二組あった。

 床には朝陽のキャリーケースのひとつが開かれて、空になっている。

「砂羽、食べ終わったら、着てきたダウンコートとブーツをここにしまって」

 ソファから立ち上がった朝陽は私のほうへ歩を進める。

 びっくりするくらい用意周到な彼に感動して、言葉が出てこない。目の前に立った朝陽に抱きつく。

「用意してくれていたのね。朝陽、ありがとう」

「イエローナイフはここよりも寒いからな。夜は凍えるほど寒い。これなら今のよりも風を通さないから」

 私が用意した防寒具は甘かったようだ。一応服装など調べたけど、何枚も重ね着してダウンコートで大丈夫……と思っていた私だ。

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