極上パイロットが愛妻にご所望です
 バンクーバー国際空港の国内線で十四時出発し、イエローナイフに到着したのは十七時三十分を回っていた。

 すでに暗くて、雪は降っていなかったけど、晴れているようには見えない。

 オーロラが出現する条件は晴れ。今日は期待をもてそうもないけど、微かな望みを捨てずに、空港からホテルへ向かうタクシーの中でこっそり祈っていた。

 唯一街の高級クラスに属するというホテルは空港から五キロほどのところで、そこを拠点に毎晩オーロラ鑑賞に出かけるという。

 七階建てのホテルの最上階の角部屋からは、高さのない建物の街並みや雪をかぶった針葉樹林が見渡せる。

 夕食を食べ終え、迎えに来たツアーの車に乗って、オーロラが見られるという場所までやってきた。

 オーロラが出るまでキャビンで待てるようになっており、他にも各国の観光客が二十人ほどいる。日本人観光客も数名。

 みんなは自由にキャビンから外へ出たりして、オーロラが出現するのを今か今かと待っている。

 もちろん私もそわそわしている。月が出ていたので、出現する望みはあるとガイドさんが教えてくれた。

「砂羽、外へ出てみる?」

「うん」

 落ち着かない様子の私に朝陽が声をかけてくれる。キャビンへ入って一度外した手袋をはめて、手を繋ぎながら外へ出る。

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