極上パイロットが愛妻にご所望です
「明日は大晦日だね」

 チェックインのお客さまがようやく途切れ、比呂が言う。

「毎度のことだけど、実感ないね」

「初詣に行けるのはいつだろう。彼、めちゃくちゃ忙しくて、ここのところデートはおろか、顔も合わせていないの。砂羽も桜宮機長と会えていないでしょう?」

 朝陽とは昨日、ゲートで姿を見かけただけで、うちに食事に来て以来会っていない。あれが十三日だったから、かれこれ十七日間だ。メッセージや電話では話をしているけど、やはり寂しい。

 私がこの仕事をやっている限り、すれ違いが続くのね。

 会っていない日数を、指を折ってみせると、比呂が大げさにため息を漏らす。

「お互い、前途多難な恋だね」

 比呂に、プロポーズされたことを話せていなかったことが気になっていた。

「明日勤務が終わったら、久しぶりに食事に行かない?」

 ふたりとも早番なので、十四時までになる。

「行く行く。美味しいものでも食べて、ストレス解消しなきゃ」

 比呂と約束をして、明日ようやく話せる私は少し気が楽になった。

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