涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜

セダがそう言い、銃口をグレンに向ける。ライリーたちも同じように武器をつらつかせた。

「……わかった。船を壊されたらたまったもんじゃねえ」

グレンは舌打ちをし、テレサを放す。テレサはセダたちのもとへ駆け寄った。

「セダ、どうして……」

「様子がおかしかったから、あとをつけてきた」

セダがそう言うと、アイザックがグレンを睨んで言う。

「今夜中にこの国から出て行け」



それから一ヶ月後、カヤは無事に出産を終えた。元気な男の子で、名前はアオと名付けられた。

テレサはあの日、セダたちにお礼を言いカヤの秘密を聞かせてもらった。カヤに不思議な力があると知って驚いたものの、カヤの歌声にテレサは救われたのだ。

「セダ、出航の準備ができた」

今日、セダはまた旅に出る。次はハナダを目指すそうだ。アオをカヤの兄たちに見せに行くらしい。

「アイザックさん、ライリーさん、ゴドフリーさん、セダをこれからもよろしくお願いします。また来てください」