雨のリフレイン
そして三月になり、卒業が迫る。洸平は横浜に泊まり込むことも増えて、ますます顔を合わせることが減った。
卒業までは何があっても継続する婚姻関係の期限ももうすぐだ。
柊子の胸に刺さった棘は、未だに刺さったままで少しずつ柊子の心を蝕んでいた。



「あー腹立つ!」
「愛美、落ち着いて」


この日は、国試の打ち上げと称して久しぶりに柊子、愛美、圭太の三人で大学近くの居酒屋で祝杯をあげていた。


「男なんて、もー信じられない」


愛美は付き合い始めた男と、急に連絡が取れなくてなったそうで、今日はひどくイラついていた。ビールを一気にグイグイと飲み干している。


「ちょっと、愛美。ピッチ早いよ」
柊子は慌てて止めたが、愛美は店員にビールのお代わりを頼んでしまう。

「平気よ。今日はごめんね、祝杯のつもりだったけどさ、やけ酒よ」
「いや、それはいいけどさ、急に連絡取れないってさ、カレシと喧嘩でもしたのかよ」

圭太の質問に、愛美はキュッと唇をかんだ。
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