雨のリフレイン
1人になり、柊子は宿題に集中する。


「あら、柊子、来てたのね。
お母さん、まだ帰れないけど」


しばらくして、母がひょっこり顔を出した。


「わかってる。
宿題終わったら先に帰るよ。買い物しておくから、買うもの教えて?」
「よかった!そうしたらね、牛乳とパンと…」


母が並べる品物を慌ててメモする。


「あ、八坂さん!
302号室、ナースコールよ。お願い」
「わかりました、すぐに行きます。
じゃ、柊子、お願いね」


「はーい」


母は、すぐに踵を返して仕事に戻っていく。
ここで働き出してから、母はイキイキして見える。元々看護師の仕事が好きなのだ。忙しさで、淋しさを紛らわせているのかもしれない。

柊子は、母の後ろ姿をさみしく見送った。そんな暗くなった気持ちを散らす為に飲み物でも買おうと、母の後から控室を出た。




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