雨のリフレイン
「今日はさ、翔太先生についたんだけど。
ほんとに、ルーズで困る〜。
机の上はすぐにぐちゃぐちゃにするし、トイレに行ったらなかなか帰ってこないし。
困った研修医よ」

ここで看護師達の愚痴を聞くのも、柊子の役目。

「その点、水上先生はしっかりしてるわよ。
真面目すぎて要領が悪いのがたまにキズだけど。
柊子ちゃんにも、もっと優しくしてくれればいいのにねー」
「いいんです。
水上先生のクールなところ、好きだから」


柊子は、もらったどら焼きをパクリと食べながら笑った。


「かぁわいいー!
柊子ちゃんは、ほんとに可愛いわ。妹にしたい。
どら焼き、もう一つどうぞ」

看護師が頭を撫でてくれる。
柊子は手渡されたどら焼きを後で食べるからと、ポケットに入れた。


柊子にとって、淋しさを忘れさせてくれるこの場所は、大切な場所。


「さてと、そろそろ戻らないと。
じゃ、柊子ちゃん、宿題頑張って」
「ありがとうございます!」


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