雨のリフレイン
「要らない。
それから、ここは関係者以外立ち入り禁止」


どら焼きを差し出した柊子に、水上は顔も見ずに言った。


「冷たいなぁ、洸平。固いこと言うなよ。
女子高生がいるなんて、それだけでこの殺風景な医局も華やぐじゃないか」
「翔太先生、私、戻ります。
皆さんの邪魔をしないことを前提に、特別に院内に入れてもらってるんだもん。
水上先生、これ、食べてね。
今度、お弁当作ってくる。食べやすいおにぎりとか。食事は、ちゃんと食べて」
「優しいなぁ。なんていい子なんだ、柊子ちゃん。
こんな、真面目で、堅物で、愛想のない洸平なんかに、勿体ない」


柊子は、どら焼きを水上の机に置いて、ニッコリ笑った。


水上は、やっと、ちらっと柊子を見る。
それから、ふうっと一つため息をつくと立ち上がった。


「来い。…翔太、食堂に行ってくるから」


水上は、柊子を呼んで部屋を出る。柊子は、慌てて水上の後を追いかけた。


「しっかり食ってこいよ〜
柊子ちゃんに、スイーツでも奢ってやれ」


翔太は、ニヤニヤしながら二人を見送った。

< 24 / 302 >

この作品をシェア

pagetop