雨のリフレイン
柊子は、決心してリビングでくつろぐ香織と團の元に向かった。

「あら、柊子さん、何か足りないものあった?」
「いえ、充分過ぎるお部屋をありがとうございます。香織先生と、團先生に、ご相談したいことがあって…。

実は、私…」


柊子は、そっとお腹に手を当てた。
その仕草だけで、香織はピンときたようだ。


「そんな身体で大変だったわね。うちには産婦人科もあるから検診も出来るわよ。なんなら、このままここで産んでしまいなさいな」
「今の状況なら、その方が水上も安心かもな」
「それが…実はまだ知らせていないんです。横浜に会いに行く直前に今回の事があって…
大事なことだから、どうしても直接会って話したくて」

そう告げた柊子は、思いつめたような表情を見せている。

「そうなの?水上先生まだ知らないんだ。でも、今の状況を考えたら、その方がいいのかもね。後妻の女に知られたら何されるかわからないもの。
…わかった。弁護士からもう大丈夫って言われるまで、あなたもあなたのお母さんも赤ちゃんも、みんな私たちが守るわ!」

香織の言葉が心強い。柊子は、感謝を込めて深々と頭を下げた。

「…でもさ、早めに水上本人には知らせてあげて欲しいな。心配を増やしてしまうけれど、それでも嬉しい知らせだからね」

穏やかな團の言葉。

「嬉しい…ですかね。
横浜に行ってから、一度も会っていないんです。私自身忙しくて、妊娠に気づいたのも遅くて…」

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