雨のリフレイン
素早い処置で事なきを得た桜木。
今は落ち着いて病室で眠っていた。
「水上先生がいらしてくれて、よかったわ。
久しぶりね。鍛えられたのかしら、立派になったじゃない」
山田師長が水上の背中をポンとたたく。水上は照れたように、はにかんだ表情を浮かべた。
そこへ、コンコンとノックがあり、私服姿の柊子が入ってくる。
主治医の翔太、山田師長、そして水上が桜木のベッドの周りにいて、柊子は三人に頭を下げた。
「柊子ちゃん、お疲れ様。もう、帰りかい?」
翔太が声をかけた。
「はい。
桜木さんの様子見てから帰ろうと思って」
柊子は、桜木の側に歩み寄る。そんな柊子に翔太が告げた。
「退院、少し伸びるよ。
オヤジ、柊子ちゃんがひどく気に入っているみたいだし、もう少し頼むよ」
「それが…明日から大学の特別講座を受講することになっていて、来れないんです。
すみません」
「そっか、それなら仕方ないな」
翔太は肩をすくめた。