雨のリフレイン
柊子はといえば、頭がパニックだ。

昨夜、雨の中、淋しさにさいなまれて泣きながら帰ってきたのは覚えている。
帰ってきたら、水上がソファで寝入っていて。
こっそりキスした。

それからシャワーを浴びて…

その後は、どうしたっけ?
どうして一緒に寝てるんだろ?

わからない。


わからないながらも、一つだけ確かなこと。

たとえ一緒に寝ていても、水上は柊子に手を出しはしない。
抱き寄せられて、体をぴったりとくっつけて。


でも、それ以上は、無い。


心も体も一つになりたいと願うのは、欲張りなのかもしれない。


大好きな人がこんなに近くにいて、嬉しい気持ち。
それでも、ひどく遠く感じる、淋しい気持ち。
二つの感情が交互にやってきては柊子を翻弄する。


水上の規則正しい寝息が聞こえてから、柊子はゆっくりと体を起こした。

これ以上、こんな事をしていてはダメになる。
柊子ばかりが想いを募らせて、苦しいだけ。
距離の近さに期待をしても、何も変わらない。


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