雨のリフレイン
「…ん」


柊子が体を起こしたことで、水上も反応する。


「先生はまだ寝ていて下さい。私は学校があるので。
ご飯、作っておきますから」
「ん」


わずかに返事をしたかと思うと、再び寝息をたてる。
そんな水上をそのままに、柊子はそっと寝室を出た。



ぐちゃぐちゃ考えても、あの人のことはわからない。だから、距離の取り方一つで喜んだり残念がったり、動揺しない。
思い出は少ない方がいいの。だから期待しない。



冷たい水で顔を洗って、気持ちを切り替える。


その時だった。


どこからか、携帯の呼び出し音がした。
柊子の携帯の音ではない。だが、聞き覚えのある音。


しばらくして、水上が姿を現す。


「呼び出しですか?」
「あぁ。シャワー、借りる」


柊子は急いで残っていたご飯でおにぎりを握る。
それから、ちょうど洗濯をして取り込んでおいた水上の着替えを用意しておいた。

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