雨のリフレイン
水上はあっという間に支度を整えて、リビングに姿を現した。

「着替え、取りに行ってくれたのか?」
「いえ、洗濯終わって、先生のお部屋にお持ちするつもりだったものです。取りに行く時間も惜しいから。
これ、おにぎりです。食べて下さいね」
「助かる。ありがとう。
…あ、そうだ」

おにぎりを受け取り、急いで出て行こうとした水上が不意に柊子に歩み寄ったかと思うと、ぎゅっと抱きしめた。

「み、水上先生!?どうしたんですか!」
「ひと月ぶりの、丸一日の休みだったんだ。やっと君と顔をまともに合わせたのにな」
「先生のお体が心配です。無理しすぎて、倒れないで下さいね?」
「それなら、特効薬がある」
「特効薬?栄養ドリンクみたいなものですか?」

水上の腕の中で特効薬とは何だろうと彼を見上げた、その時だった。




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