恋叶うオフィス
武藤はチラッと私を見てから、私の隣に腰を下ろした。宇野くんは武藤を見て、苦々しい顔をする。


「なにが気になるって言うんだよ?」

「それより何を話していたの?」

「何を話していたか気になるってことか? ったく、邪魔しやがって……渡瀬に結婚前提とした交際を申し込んでいた」

「結婚前提?」


私と同様の驚きをした武藤は、宇野くんを見てから私を見る。私は小さく頷いた。


「そうだ。武藤ができないことを俺はした」

「俺ができないこと?」

「ああ。武藤は渡瀬との結婚、考えたことないだろ? お前、結婚できないと言ってたもんな」

「結婚か……俺には考えられないことだな……」


武藤の結婚観を私は聞いたことはない。でも、宇野くんは聞いたことがあるみたいだ。

男同士だからなのかな……私と武藤の中では結婚の文字すら出たことがない。

でも、私との結婚を考えたことないと言われるのはショックだ。武藤はそんなにも私を恋愛対象としてみてないのかと……。

やはりあのキスは本当にたまたまで、なんの意味をもたない。納得してつもりでいても、再認識させられた感じでまた気持ちが沈む。
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