彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
放課後、よっちゃんと一緒に下校する。
人目がなくなるまで、体育館の裏でおしゃべりをして途中まで一緒に帰る。
最初は緊張したりけど、慣れてしまうと楽しかった。
「それでね~テレビではそう言ってるんだ。」
「へえ~それは知らなかった~」
同級生とのたわいない会話、友達と話せることが嬉しかった。
「あ、待って、すがちゃん!」
「え!?」
「隠れよ!あそこにA組の子が・・・!」
「あ、本当だ。」
コソコソするのは嫌だと思ったけど、よっちゃんと2人なら、隠れながら帰るのも楽しかった。
「すがちゃん、こっちこっち!早く!」
「待って、よっちゃん!引っ張らないで~」
手をつなぎ、細い路地を走り抜ける。
瑞希お兄ちゃんは大好きだけど、JKとしての思い出が少しはあってもいいかもしれないと思う。
「あった!すがちゃん、ここ!」
そう言って、よっちゃんが立ち止まる。
私も同じように足を止めながら見る。案内された先は、おしゃれなカフェ風の店だった。
「ここが、『GREAT STAGE』の支店ですか・・・?」
「うん・・・・2号店で、『GREAT STAGE SECOND(ぐれーと すてーじ せかんど)』って言うんだって・・・。」
そう語るよっちゃんの表情は険しい。
『GREATSTAGE』みたいに、看板などは出ていない。
どこにでもある街中の背景のような建物。
はっきり言って、入るのを迷う感じ。
「ごめん・・・・誘っておいてあれだけど・・・・怖いね。」
「大丈夫・・・!」
震えるよっちゃんの手を握る。
友達の恐怖が、つないだ手を通して伝わってくる。
案内役をしていたよっちゃんが立ち止まる。
「本当にここで・・・間違いないの?」
「うん・・・スマホの地図だと、ここになってるからきっとそう・・・」
確認のために聞けば、青い顔で首を縦にふる。
瑞希お兄ちゃんの職場並みに綺麗だけど、好きじゃない。
(なんか嫌な感じがするな・・・)
直感でそう思った。
そう思ったのだが―――――――
「本当に一緒に来てくれるの?」
「・・・当たり前ですよ。友達なんだから。」
後戻りはできない。
終わらせることができるなら、早い方がいい。