彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「ありがとう・・・すがちゃん。」

「どういたしまして。行きましょう。」



恐る恐る、動き出したよっちゃんに私も付いていこうとした時だった。





チクッ!

「痛い!?」

「え!?すがちゃん!?」





太ももに激痛が走る。



「どうしたの!?大丈夫!?」

「い、いたぁ~!?」



シャーペン!?ボールペン!?



(ポケットに入れっぱなしにしてたっけ!?)



そう思うような痛みだった。



「ご、ごめん!なにかあたったみたいで~」



そう言いながら、よっちゃんとつないでいた手を放す。

放してくれた。

ポケットに手を入れて、中身を全部出す。

中に入れていたのは、ハンカチとティッシュと――――――





(―――――お守り?)





烈司さんからもらったフクロウのお守りだった。





「あ、カワイイ!トリ?鳥だよね!?」

「う・・・うん。」

(これが刺さった!?いいえ、とがってるはずないから―――――――)





まさかと思いつつ、見ていたら、また激痛が走る。






ズキン!

「いっ!?いたた・・・・!?」

「すがちゃん!?」





その場に立っていられなくなって座り込む。





(立てないぐらい痛い!?なんで!?)





「どうしたの!?どこか悪いの!?汗がすごいよ!?」



前にもこんなことあったような・・・!?



(あの時は確か――――――渕上に騙されて仲直りの演出に貢献した時だったけど・・・!?)



今日はやめた方がいいかも・・・!



「ごめん、よっちゃん・・・今日はやめておかない?」

「え!?なんで!?目の前まで来てるのに!?」

「痛くて・・・」

「足が!?だったら、中で休ませてもらおう!」

「いや、帰ろう!」

「イヤだよ!早く借金返したいよ!すがちゃんと損得勘定なしで過ごしたいよ!」

「よっちゃん・・・」



(気持ちは嬉しいけど・・・)



ゆっくりと立ち上がる。

前に一歩足を進めるが・・・





ズキン!

「痛っ・・・!?」





鋭い痛みは続く。

なんなのこれ!?





「やっぱり、うまく歩けない。ごめん、今日はやめよう?」

「嫌になったんでしょう?」





私の言葉に、よっちゃんは涙目で言う。




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