先輩の彼女
一緒にエレベーターに乗り、間野さんが1階のボタンを押した。

会話は無く、エレベーターは静かに、下へ下へ降りて行く。

程なくして、エレベーターの扉が開いた。

郵便局は、ビルの玄関口の近くにある。

「これだけ郵便局が近いと、便利ですね。」

「そうだな。この地域の時間外も扱ってるから、斎藤みたいに残業しても大丈夫だな。」

「わー。それは有りがたい。」

間野さんの、少し嫌みっぽいところも慣れた。

郵便局に入ると、直ぐに受付のおじさんが、対応してくれた。

「お姉さん、新人でしょ。」

「はい。よく分かりましたね。」

「時間外に持って来るのは、新人さんしかいないからね。」

おじさんは、ニヤリ。

長く働いていると、分からなくていいところまで、分かるようになってきますな。

「おじさん。このお姉さん、斎藤って言うんだ。宜しく頼みますよ。」

「へえ。俺も斎藤って言うんです。宜しくね。」
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