先輩の彼女
私とのデートを、喜ぶ谷岡君を、なんだか可愛らしく思える。

「金曜日はどうですか?」

「休みの前の日?」

学生の谷岡君にとっては、一番最適な日だろうけど、私は次の日だからこそ、仕事をやり残したくない。

「ね、いいでしょう?久実さん。」

「うん……」

「やった!」

嬉しそうに、残りの本を片付ける谷岡君。


まっ、いいか。

一日だけだもんね。


「そうだ。ダメだった時の為に、久実さんの連絡先、教えて下さいよ。」

谷岡君が、スマホを取り出す。

「……そうね。」

私もスマホを取りだし、お互いのLINEのIDを交換した。

「僕、少しの時間なら、全然待つんで。残業になるからって、パスするのは止めて下さいよ。」

「……分かった。」

今の大学生の男の子って、こんなに強引に来るものなのか。

ちょっと意外に感じながら、私は段ボールを隅においやり、ついでに中身もチェック。
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