先輩の彼女
うーん。

これはまた、違うジャンルの本だったらしい。

「ああ、谷岡君の仕事、終わった?」

「僕は大丈夫です。すぐに終わる仕事なんで。久実さんは?」

「私も、もう終わったかな。」

元々、時間潰しに来ただけだから。

何も目的なんてない。


「じゃあ、私戻るね。」

「はい。」

谷岡君を一人残し、私は倉庫から出た。

席に戻ったら、また間野さんがいるのかな。

気持ちが重い。

こんな時、社内恋愛って面倒だなと思う。


憂鬱な気分になりながら、席に戻ると隣にいるはずの間野さんが、そこにはいなかった。

「あれ?先輩は?」

「ああ、間野先輩なら、会議ですよ。」

向かいの白石さんに教えられ、ちょっとほっとする。

今のうちに、営業目標でも書いてしまおう。


と、言っても。

全くそんな目標なんて書いた事がないから、前任の工藤さんの目標を、そのまま参考。

これでよし。
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