強がりな私の日々
<当日>

今日は大学が2コマで、海翔とは15時に約束をしている。

ピンポーン

夢菜のマンションのインターフォンが鳴る。

あれ?なんか2人いる?げっ、奏翔先生…。海翔話したな。

「どうぞ」

2人「おじゃましまーす。」

「海翔、なんでお兄さんと…」

奏翔「俺はすぐ帰るから」

海翔「流石。お嬢様だね、一人暮らしでも1LDKなんだね。家具もちゃんと揃ってるし。」

「まぁ、私のお金じゃないし、手伝ってもらったからもう一通りは完成かな。」

奏翔「夢菜、そしたらこっち。海翔ちょっとリビングで待ってて」

ー寝室にて

奏翔「なんで2ヶ月も来なかったの?」

「忙しかったし、休むと行きづらいし…。」

奏翔「期間空いたらもっと行きづらいだろ。まぁ、とりあえず聴診。服ボタン外して」

「なんで持って来てるんですか?」

奏翔「まぁ、医者だから笑」

「へー」

奏翔「うん。音は大丈夫だな。明日血液検査とかしよう。」

「え?明日行かなきゃいけないんですか?どうしてですか?今見たんじゃ…」

奏翔「検査したいって言ったじゃん。」

「嫌です、倒れるから。」

奏翔「病院だから倒れても大丈夫だから、するよ。」

「わかりました」

奏翔「おでこ触るよ。熱はないな。後、腕。」

「腕ですか?脈ならさっき聴診したからいいんじゃ…」

奏翔「ほら、左腕まくって。」

「嫌です」

奏翔「いいから、まくるよ。あっ、これどうしたの?」

「………………ナムルがひっかいた。」

目を合わせずに言う。

ナムルは私の飼っている猫だ。私にはもちろん、2人にも懐いていてひっかくことなんてないけど…。

奏翔「それ本当?ナムルってひっかかない子だと思うけど。ちゃんと言って。」

「嫌です。何でもないです。」

奏翔「海翔がいたら話す?呼ぶ?」

「別にどっちでもいいです。」

奏翔さんがドア開けて海翔を寝室に招いた。

海翔「ん?何?」

奏翔「これ夢菜ナムルがひっかいたっていうんだけど、海翔どう思う?」

海翔「夢菜、まずこっちちゃんと見て。目そらさない。」

「ん?」

目を合わせたけど、目を合わせると涙が出ちゃう。

海翔「本当のこと言って?別に怒らないから。」

「ごめんなさい。切った。」

泣きながら答えた。

海翔「一番最近いつ?」

「昨日」

海翔「兄ちゃん、ちょっと一回出て。」

奏翔「ああ、分かった。」

奏翔さんがリビングに行った。

海翔が私を抱きしめる。更に涙が出た。海翔は優しい。こういう時、まず最初に私が落ち着くであろう行動をしてくれる。私は海翔に身体を預けて、たくさん泣いた。背中をさすってくれる大きな海翔の手。温かい、安心する。

海翔「最近、忙しかったもんな。明日からGWだし、少しはゆっくりしよ。」

「うん、毎日気張ってたから。海翔、ありがとう。奏翔さん呼んでくれる?」

海翔がドアを開けて、奏翔さんを寝室に入れる。

奏翔「夢菜、落ち着いた?」

海翔「うん、落ち着いたよ。」

奏翔「昨日も切ったんだっけ?」

「はい…」

奏翔「安定剤欲しい?」

「いらない。」

また、私は2人から目をそらした。なんか今日は公開処刑されているみたいだ。
薬欲しいけど、そのためには診察がいる。診察ってことは多分、省太先生だ。心配かけたくない。海翔には毎日会うわけじゃないし、何とかなるはず。また、切っても大丈夫だと思うし…。

奏翔「また、俺たちにバレないように切ればいいとか思っているだろ。」

本当にバレバレだ。どうしようかな。

海翔「傷の量なんて関係ない。夢菜、一人で抱え込まなくていい。さっきだって、安心できただろ?俺も兄ちゃんも敵じゃない。味方だ。省太先生に伝えていい?」

「うん、分かった。」

奏翔「俺がLINEしとくな。そしたら、海翔明日よろしく。俺は帰る。」

海翔「分かった。じゃあ、また明日。」

奏翔さんが帰った。
それから海翔とゆっくり楽しい時間を過ごした。
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